焼き物が大好きになる。そんな一冊。
焼き物は壊れてしまうから、儚いからこそ、何百年も愛でられてきました。
桃山の武将たちが心酔したやきものは、時をへて現代に伝わっています。
それらの「古陶」に魅せられて、再興をめざした昭和の巨陶たちもたくさんいました。
彼らは何を受け継いだのか―。私たちは何を伝えられるのか-。
陶芸作家も、陶芸を始まられた方も、陶芸の蒐集家たちも、そんな焼き物に魅了されました。
そんな魅力を著した本を紹介します。
Amazonや紀伊国屋書店のネットで購入することができます。
趣味というのは、知識の積み重ねのような気がします。
のんびりとした時間に、古陶から近代巨匠まで、どんな物語があったのか調べるのも作陶の栄養になると思います。
やきものは男の本懐である (単行本)
黒田 草臣 (著)
商品の説明
内容紹介
壊れてしまうから、儚いからこそ、何百年も愛でられてきた――。
やきものは男の美学なり。
大ヒット漫画『へうげもの』の古田織部の生きた時代、武士や数寄者たちは、茶にのめりこみ、やきものに心酔した。
中国からわたってきたて天目茶碗は、真っ黒いなかに油の滴のような七色の釉薬が仄見えて、まるで満天に輝く星のよう。宝石のような美しさに見とれた。
戦の前、戦国の武将たちは、朝鮮半島からわたってきて井戸茶碗に点てられた茶をまわしのみ、共に戦い生き抜くことを誓った。
ただの観賞のためではない、もっと切実ななにかが、「やきもの」だったのだ。
そんな中国や朝鮮半島からわたってきたやきものに近づこうと、日本でも、たくさんのやきものが誕生したが、明治になると機械化が進み、日本のやきものは壊滅的な状態に。それらを復興させたのは、魯山人や荒川豊蔵らたち。彼らは桃山時代などに焼かれた器を参考に、廃れていた技術を蘇らすことに成功した。日本のやきものは、いったん途絶えた後、昭和の初めに再興されたのだ。
本書では、昭和の名工たちが手本とした伝世の古陶と、それらを範にした昭和の名品、さらには現代のものをあわせて紹介しながら、一本の糸のように受け継がれてきた日本の工芸技術の粋を披露する。
内容(「BOOK」データベースより)
桃山の武将たちが心酔したやきものは、時をへて現代に伝わる。それらの「古陶」に魅せられて、再興をめざした昭和の巨陶たち。彼らは何を受け継いだのか―。技と心の軌跡をたどる、ニッポンやきもの物語。
著者紹介
黒田草臣(くろだ・くさおみ)
1943年鎌倉生まれ。黒田陶苑代表取締役。40年にわたり陶業に携わり、「北大路魯山人展」など近現代陶芸家を中心とした展示会、個展を数多く企画プロデュースする傍ら、陶磁器に関する執筆・監修を行う。著書に『魯山人ART BOX 美と食の天才』(講談社)、『終の器を選ぶ』(光文社新書)、『器・魯山人おじさんに学んだこと』(晶文社)など。現・沖縄県立沖縄芸術大学非常勤講師・朝日旅行「極めつけ陶芸紀行」講師など多数兼任。
しぶや黒田陶苑ホームページ
レビュー
「陶芸のルネッサンス」ともいわれる桃山時代の再現を望んだ陶工たちは、代々世襲の名家ではなく、自ら土を探し、薪を割り、多くの試験焼を重ねるなど多くの時間を費やし、跡絶えていた名品の再現のために試行錯誤を繰り返した男たちです。
彼らの努力は生半可ではなく、制作においても名品鑑賞にも、文字通り命をかけていました。
それまで蔵の奥深くに仕舞われていた美術品の売立の時、手本となる名品鑑賞だけのために、心ある陶芸家は窯の火を止めてでも見にいきました。
今日のように名品を揃えた美術館もなかったため、彼らにとって天下の名品を肌で感じるために古美術を熟視した心眼で見極めることが先決だったようです。
古陶の急所をとらえた陶芸家たちは名器を向うに回して一歩でも近づきたい、より良いものを制作したい、とその意欲を高揚させたにちがいありません。
古美術を心から愛し、赤貧を顧みず死にものぐるいでやきものを作った近代巨匠陶芸家の誕生なくしては、今日の「陶芸王国」といわれるような日本陶芸界は生まれてはこなかったと思います。
美と食の天才 魯山人 ART BOX (単行本)
黒田 草臣 (著)
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
書・画・陶・食を自在にあやつるマルチ・アーティスト、北大路魯山人のすべて。篆刻、書、陶磁器など絢爛たる作品でたどる「魯山人百科」。
レビューより
魯山人作品を展観した本は数多いが、大部で持ち運びに不便なものか、写真が小さい文庫版しか無かった。この本は持ち運びができ、なおかつ写真の大きさも十分で、過不足の無いサイズであるといえる。
内容はこれまで展覧会や本で紹介された物も多く、特に目新しいとは言えない。それでも星岡茶寮の写真など、殆ど目にする機会の無かった貴重な資料も多く、一見の価値はある。特に八勝館のアサガオなど、いくら魯山人の作とは言え、被写体としては思いも拠らなかった(現に使用されているトイレですよ?)。購読に値する一冊である。
魯山人の器 (NHK美の壺) (単行本)
NHK「美の壷」制作班 (編集)
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「うまいもの」を求め続けた北大路魯山人。彼が目指した「料理と響き合う器」は、どのようにして生まれたのか―。センスと技が融合した美の世界、指南いたしましょう。
内容(「MARC」データベースより)
「うまいもの」を求め続けた北大路魯山人。彼が目指した「料理と響き合う器」は、どのようにして生まれたのか。センスと技が融合した魯山人の器を堪能するための3つの「ツボ」を紹介。NHKテレビ番組「美の壷」を書籍化。
レビュー
魯山人ファンには物足りないと思いますが、
歴史も少し学べるし、陶芸を初めて数ヶ月の私にとって大変役に立った。
簡単な図柄がたくさん出ているので釉薬の時に、
図柄アイディアを参照するのに使えました。
魯山人陶説 (中公文庫)
北大路 魯山人 (著), 平野 雅章 (編集)
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
書画、篆刻をよくし、生涯にわたって美食を追い求めた魯山人。「食器は料理のきもの」と唱え、40代後半から本格的に陶器の制作をはじめ、多彩で個性に富む数々の名品を生み出した。みずからの作陶体験と鋭い鑑賞眼をもって、古今の陶芸家と名器を俎上にのせ、やきものの尽きせぬ魅力を縦横に語った“魯山人のうつわ論”。
レビュー
今出版界はちょっとした魯山人ブームと思いますがこれは漫画「美味しんぼ」とTV番組「何でも鑑定団」の影響が大きいでしょう。
ですが本書を一読して思うのは魯山人は海原雄山的な理詰めでは全くないということです。
本書は室町から江戸初期に至る陶器の名品を写真で見せながら魯山人が評して行きますが、それは理論的な物ではなくて愛してやまない美点の賛美であり、時として世評は高いけれども自分は評価しない物の斬り捨てです。
「なんとも言えぬ美しさ、では評にならない」と書きながらそれ以上のことが書けないもどかしい思いが伝わってきます。
いきおい読者の興味は真意を探るために、魯山人とはどういう人間だったのかとかいう方向に強く引っ張られ、それはそれで楽しいのですがまずは魯山人の書と陶器をなるべく思い込みの無い眼で観てみることから魯山人の理解を始めるのがどうやらいいようです。
骨董の眼利きがえらぶ ふだんづかいの器 とんぼの本 (単行本)
青柳 恵介 (著), 芸術新潮編集部 (著)
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
古今の器を知り尽くした四人の骨董商が、毎日の食卓でつかいたい現代陶芸家の皿や鉢を紹介。
内容(「MARC」データベースより)
美しい、使いやすい、価格もお手頃…。器を知りつくした4人の骨董商が、毎日の食卓で使いたい現代陶芸家の皿や鉢を紹介。『芸術新潮』2001年4月号の特集「骨董の眼利きがえらぶ 現代のうつわ」を再編集、増補・改訂。
レビューより
一万円以下、できれば数千円というくらいの価格で、気に入った食器が欲しい。
そんな食器を見つけるのは意外と難しいものです。
気軽に買える価格で、いい器はないか、どこかにそんな情報誌はないかと思っていたら、本屋さんでタイトルに惹かれこの本を偶然手にとってパラパラと見て掲載された器が値段含めてとても気に入り購入しました。
4人の骨董商はみなさんさすがに目利きでいいものを選んでいます。
なかには高いものもありますが、数千円から一万円以下のいい器が紹介されています。この本は言うまでもなく商品カタログではありません。それ以外にも目次にあるようにいい読み物があります。
一番価値があったのは比較的若い作家の素晴らしい器が自分にとって手ごろな値段で掲載されているだけでなく、どこに行けば買えるかまで書いてある点です。
これから少しづつ揃えていきたい。そんな気持ちにさせてくれるこの本は私にとって器ショッピングの情報誌としてとても価値あるものとなりました。
器好きの方には絶対お薦めです。
器つれづれ (単行本)
白洲 正子 (著), 藤森 武
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
死の直前まで掌に包み、唇に触れ、慈しんだ“もの”たち。その手塩にかけ、磨き、鍛えあげた「心の眼」を伝えたい…。ふだん使いの“器”150点と名随筆が奏でる“美”の交響曲。
内容(「MARC」データベースより)
どんなに上等なものでもしまっておいたら必ず顔色が悪くなる…。死の直前まで掌に包み、唇に触れ、慈しんだ"もの"たち。著者が手塩にかけ、磨き、鍛えあげたふだん使いの器150点を写真と随筆で紹介する。
レビューより
白洲正子さんが、ふだん使いの“器”150点 (食器;酒器;茶器;花器;文具ほか)を物の美に対する一流の鋭い目と独自の世界を通してまとめあげた, 随筆家としての彼女の人生最後の一冊。
「どんなに上等なものでも、しまっておいたら必ず顔色が悪くなる。
つまり、死物と化すのである。
私は毎日そばにおいて荒っぽく使っている。時には瑕がついたり、はげたりするが、道具はそこまでつき合わないと、自分の物にはなってくれない。
道具は物をいわない。
だが、美しくなることによって、こんなに育ちましたと、嬉しそうな顔をする。
その瞬間、私は感動する。」(「私と道具」より)
久しぶりに, 大きく頷かされた文章である。白州さんの"美" に対する 鋭い見解や美学論を 難しいと感じる人もいると思うが, 彼女のユニセックスの性格をあらわす鋭い切り口と繊細な感性が, 私にはとても新鮮であった。
いまどき和の器―知っておきたい器使い (大型本)
高橋書店編集部 (編集)
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
本書は、作り手が見える「和の器」に限り、あくまでも家庭で使う器という視点で、多くの店やギャラリーの協力を得て編纂された。コーディネートや器の使いこなし術も紹介した。
内容(「MARC」データベースより)
染付、白磁、焼締、漆…。作り手が見える「和の器」で、あくまでも家庭で使う器という視点で300点を一挙紹介。料理を盛ってもよし、花を生けてもよい、暮らしを彩るふだん使いの逸品たちを収載。
レビューより
器には以前から興味があり、いろいろ集めていましたが実際使用している器もあり楽しく読ませていただきました。現代作家の器と言うことで和食器といってもイタリアンからフレンチまで使用しても素敵に見える器が多く、無機質な白いだけの洋食器よりもずっとお料理が映えそう!個人的には角皿や粉引きの器が一番気に入っています。また器を集めたくなるし、購入の参考にもなる本です。
うつわ日和。 (単行本)
祥見 知生
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
器には作り手のこころが宿っている。それは、かたちや色や佇まいの奥にあり、作り手の思いをのせてわたしたちに響く。そうして選んだ器を使うと、やがて器には使う人のこころが宿っていく。愛着が増すとは、モノにこころが宿っていく様を言うのかもしれない。器との暮らし方、11人の作り手の思いを伝える。
内容(「MARC」データベースより)
作り手がいて使い手がいる。そして器にこころが宿る。かたちや色や佇まいの奥に、作り手の思いをのせてそれは私たちに響く。そうして、使う人のこころが宿っていく。器との暮らし方、11人の作り手の思いを写真と共に伝える。
レビューより
鎌倉で器店を営まれている祥見さんの文章は、清清しく心がこもっていて和みます。小野哲平さんや長谷川奈津さんなど、気になる作家さんの素顔が感じられて、ますます器が好きになりました。器ってこんなふうに作られているんだ、と発見もたくさんありました。器への愛情が、本全体に伝わってきて、やさしい気持ちになれました。
数ある器の本とは違い、日々接している器のひとつひとつに心がこもっているんだなと、あたたかい気持ちになれ、その器たちを愛おしいと思えるようになる本です。